<中>世の中が“右へ倣え”の風潮の中、役者は何をすべきか

公開日: 更新日:

 チョイ役から主役級まで数多くの役でほかの役者との違いを出してきた。1962年のデビューから、すでに55年。大ベテランは、今のテレビドラマをどのように思っているのだろうか。

  ◇  ◇  ◇

 今は昔と違って、人間が薄味になっている気がします。僕が中学生だった頃は、町内にいろいろな顔をした大人が住んでいました。

 僕は人類学者ではないので専門的なことは分かりませんが、肌感覚として、多様性が乏しくなっているように思います。それがテレビドラマにも影響しているのではないでしょうか。

 ドラマっていうのは一種の差別や区別から生まれるもの。話の通じない者同士のやりとりが、はたから見ていて楽しいのです。同じようなタイプ、考えの人間ばかりになってしまうと、時代を映す鏡であるドラマは作りづらくなる。テレビドラマが元気がないなんていわれるのは、乱暴に言ってしまえば、時代のせいかもしれません。

 もちろん、それを口実に作り手側が手を抜くようなことは許されません。そんなことをしたら、作り手より感受性が豊かで頭もいいお客さんに、すぐに見透かされてしまう。特に役者は、汗もかけば屁もこくんだっていう日常生活の中で、寸の合った人間を表現することが必要です。僕がのらりくらりとしながらもここまでやってこれたのは、セリフをしゃべるだけの俳優ではなく、現実にいそうな人を演じてきたところにあると自負しています。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    僕がプロ野球歴代3位「年間147打点」を叩き出した舞台裏…満塁打率6割、走者なしだと.225

  2. 2

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  3. 3

    “玉の輿”大江麻理子アナに嫉妬の嵐「バラエティーに専念を」

  4. 4

    巨人「先発6番目」争いが若手5人で熾烈!抜け出すのは恐らく…“魔改造コーチ”も太鼓判

  5. 5

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  1. 6

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 7

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  3. 8

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  4. 9

    大江麻理子アナはテレ東辞めても経済的にはへっちゃら?「夫婦で資産100億円」の超セレブ生活

  5. 10

    裏金のキーマンに「出てくるな」と旧安倍派幹部が“脅し鬼電”…参考人招致ドタキャンに自民内部からも異論噴出