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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

「アメトーーク!」偏愛芸人が教える豊かな人生のヒント

公開日: 更新日:

 オトナの男が見たいと思うバラエティー番組はそう多くない。その意味で、「アメトーーク!」(テレビ朝日系)は貴重な一本だ。放送開始から14年。立派な長寿番組だが、がぜん面白くなってきたのは「○○芸人」という“鉱脈”を掘り当ててからだろう。

 たとえば、つい商品を買いたくなってしまう、土田晃之などの「家電芸人」。細部へのこだわりに驚かされる、品川祐たち「ガンダム芸人」。また再現度がハンパじゃなかったのが、劇団ひとり博多華丸の「海外ドラマ『24』芸人」だ。

「○○が好きだ!」という偏愛宣言と、「○○のここがスゴイ!」というウンチク披露。何より、いかにそれが好きかを語る彼らの偏愛は本物感に満ちている。しかもビジネスのためではない。好きなものと真摯に向き合い、突き詰めているのだ。

 番組で語っているので、結果的にはビジネスになっているが、その本質は“無償の愛”だ。喜々として「○○愛」を語る彼らを見ていると、偏愛は人生を豊かにするだけでなく、時には生きる支えとなることがわかる。

 物や趣味への偏愛ならば、自分だけの価値観で行動できる。また愛する対象から不当に傷つけられることもない。

「○○芸人」はもちろん、「○○ビジネスマン」や「○○女子高生」も大いに結構。偏愛の井戸を深掘りすれば、人生はより楽しくなるはずだ。

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