ハンズ・オブ・ストーン(2016年・パナマ、米国)
日本ボクシング連盟のドタバタ劇は呆れるばかりだが、本作はいい。米国統治下のパナマのスラムで育ったロベルト・デュランは、学校に通うことができず、字が読めない。その日の食事に困っていたところ、ボクシングジムでボクシングに出合った。
彼のケンカぶりから才能を見抜いたパナマ人トレーナーの指導で練習に励み、メキメキと頭角を現していく。その姿が米国人トレーナーのレイ・アーセルの目に留まり、伝説のボクサーへの階段を上っていく。
デビュー当初、後に妻となる金髪美女に出会って一目惚れ。交際を申し込むと、家柄の違いを指摘され、断られる。そんな彼女に返した言葉だ。
自分も貧乏だったことを逆手に取っているが、世界チャンプになってからも、空腹になることを心底嫌っていた。
ボクシング映画の名作「レイジング・ブル」では、実在のボクサー役をロバート・デ・ニーロが好演。驚異的な演技でアカデミー主演男優賞に輝いた。そのデ・ニーロがアーセル役を渋く演じているのが興味深い。主役を食うほどの存在感はさすがだ。