部屋に入りたいと言うけれど…強引に追いかけない貴ノ花関
東京にいる時は毎晩タニマチを連れて来店し、店が終わると皆で寿司屋などで食事をし、タクシー2台に分かれます。一台はタニマチ、もう一台に貴ノ花関が乗って私を送ってくれる……この30分だけが2人きりで話せる時間でした。
朴訥で純粋な彼は、タクシーに乗った時だけ、手を握ったり、「君の部屋が見たい」「部屋で飲み直したい」と言う。それでも断ると「喉が渇いたから水飲ませて」「ちょっとトイレ貸して」と部屋に入るきっかけを探してかわいいことを言うけれど、強引に車を降りて無理やり入ろうとまではしません。力士は遊んでるという印象が強かったのですが、彼とはキスをしたことすらありませんでした。それくらい純粋で一途にお付き合いを望んでいたのです。
そんな時のお断りのセリフは色恋の定番「お母さんと住んでるから」。銀座で一旗あげて、母に楽をさせてあげたいという気持ちの方が強かったのと、実は一緒に住んでいる男性がいたのです。貴ノ花関は1年ぐらい経つとさすがに諦めたのか、例のおかみさんと結婚されました。
ちょうどそのころ私も同棲していた男性と別れてしまい……運命のタイミングはズレてしまいました。私がもっと早く別れていたら、おかみさんになっていたかもしれませんでした。あの時、結婚していたら若貴を私が産めたのかしらなんて考えたり、若貴ブームも相撲ブームもなかったかもしれないと思ったり。私の恋が歴史を変えてたかもと思うと不思議でなりません。