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髙橋隆

1949年1月生まれ。学生時代に「走れコウタロー」で知られる「ソルティー・シュガー」の一員としてデビュー。大学卒業後はディレクターに転身し、ビクターエンタテインメントやテイチクエンタテインメントで数々のヒット曲を生み出す。代表作は「ダンシング・ヒーロー」「襟裳岬」「てんとう虫のサンバ」「白いギター」など。現在はフリーの音楽プロデューサー。

森進一「襟裳岬」<前>思いつきの企画でセールス100万枚超

公開日: 更新日:

襟裳岬(1974年)

 私のディレクター人生最大のヒット曲が森進一の「襟裳岬」。レコード売り上げは100万枚を超え、その年のレコード大賞と歌謡大賞をダブル受賞。紅白歌合戦でも初の大トリを飾るなど、森さんにとっても代表作と言えるでしょう。

 実はこの曲、ディレクターになって2年目の“ぺーぺー”の頃に手がけたもの。きっかけは、所属していたレコード会社の親会社からの独立1周年記念に「自分の担当以外のアーティストの企画を出せ」との社長の号令があり、思いつきで“作詞岡本おさみ・作曲吉田拓郎”って書いて出したら、それが通っちゃったからなんです。

 岡本おさみと吉田拓郎といえば当時、「旅の宿」などのヒットを飛ばしていた売れっ子コンビ。なぜ2人の名前を書いたかというと、実はソルティー・シュガーをやっていた時に、拓郎さんから「演歌を書くなら都はるみか森進一だな」って聞いていたからなんです。確かにどちらも哀愁があるから合うだろうなと思っていました。拓郎さんはいまだに「そんなことを言った覚えはない」って否定してますけどね。

 さて、企画が通ったのはいいけど、本人の了承なんてとっていない。慌てて、岡本おさみさんの元へ向かいました。津田沼駅前の喫茶店で、「これこれこうなんで、ぜひお願いします」と頭を下げ、じゃあどんな歌にしようかと練っていた時、ちょうど出版予定だったご自身の詩集のゲラ刷りを岡本さんが持ってきていたんです。ちょっと見せてもらったら「焚き火」っていう詩があって、北海道の襟裳を旅行した時に、昆布採りの女性たちがたき火をしている姿を見て書いたものだという。「これをうまく歌詞にまとめられませんか」とお願いしたのが、後の「襟裳岬」です。

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