密閉空間で襲いかかる「エイリアン」は最強のモンスター
恐怖を増幅させたのが宇宙船という密閉空間で襲われること。逃げ場がないのだ。エイリアンが人間を捕食しているのかは不明。分かっているのは生きているものは何でも殺すため「会社」が最強兵器として渇望していること。22世紀も人類は戦争を意識しているのだ。
公開時に登場人物のキャラ設定に違和感を覚えた。冬眠カプセルから目覚めたとたんエイリアンに追いかけ回されるため人物描写が希薄。「ジョーズ」(75年)は男たちの過去と友情が語られ、パニック映画ながらぬくもりがあったが「エイリアン」にはそれがない。ただ殺されるための無機的なキャラなのも本作の特徴だ。
それでもリプリーは最後まで怪物に立ち向かい、一難去ってまた一難のサービス精神で観客をドキドキさせる。CGのない時代にこれだけのSF作品を作ったハリウッドに脱帽だ。
(森田健司)