NHK「トクサツガガガ」は全国の“隠れオタク女子”に勇気を
仲村叶(なかむら・かの=小芝風花)は商社に勤めるOLで、筋金入りの「トクオタ(特撮オタク)」だ。ただし周囲から特別な目で見られることを恐れ、秘密にしている。「トクサツガガガ」(NHK)はそんな彼女の日常をコミカルに描いたドラマだ。
叶が偏愛しているのは戦隊モノの「獅風怒闘ジュウショウワン」。休日に寝そべったままポテチを口に入れ、録画しておいたこの番組を見るのが至福の時だ。当初は孤独だった叶だが、同じトクオタの吉田久美(倉科カナ)や、同僚で「ドルオタ(アイドルオタク)」の北代優子(木南晴夏)らの仲間もできた。
このドラマ、いわゆるオタクの心情を見事にすくい上げているのが痛快だ。好きなことに没頭するのは楽しい。でも他人から誤解されたり、学校や職場で浮いた存在になるのは面倒くさい。以前ほどではないにしろ、オタクならではの迷いを抱える人は少なくないのだ。
また小芝風花がコメディエンヌとしての才能をフル稼働させている。トクサツから元気をもらい、それゆえに悩み、そしてトクサツに救われてもいる叶は、全国の“隠れオタク女子”に勇気を与える存在かもしれない。
さらに、ドラマ内ドラマともいうべき「獅風怒闘ジュウショウワン」もよく出来ている。このまま放送してもいいくらいだ。エンドロールに並ぶ「特撮協力 東映」の文字が光っている。