「ハケン占い師アタル」は脚本家・遊川和彦の熟練技が光る
昨年、「花のち晴れ~花男Next Season~」で連ドラ初主演を果たした杉咲花。今期は「ハケン占い師アタル」のヒロインである。イベント会社で派遣社員として働く的場中(杉咲)は、他人の内面を見通す特殊能力の持ち主だ。同じ部署の面々が抱えるさまざまな悩みを密かに解決していく。
たとえば、自分に自信のない神田和実(志田未来)には小学生時代の光景を見せる。当時、級友たちに「くさい」と言われたことがトラウマとなっている和実だが、本当は「笑顔が嘘くさい」という意味だった。他人に嫌われないことに汲々としている彼女に、「自分に対する愛が欠けている。もっと自分を大切にしようよ!」と説く。
また、コネ入社の坊ちゃん社員・目黒円(間宮祥太朗)には、最愛の母を失ってつらかったのは父親も同じだと教える。そして「少しは大人になれよ!」と叱咤するのだ。アタルがやっているのは「占い」というより「人生相談」であり、アタルは「占い師」というより特殊能力を生かした「カウンセラー」である。
登場人物たちの「悩み」には何かしら普遍性があり、見ている側もアドバイスを自分に引き寄せて聞くことができる。このアタル流「人生のヒント」を支えているのは遊川和彦のオリジナル脚本だ。天海祐希「女王の教室」や松嶋菜々子「家政婦のミタ」を手掛けてきた熟練の技が光る。