テレ東「デザイナー渋井直人の休日」で輝く光石研の真骨頂
今期もテレビ東京の深夜ドラマが絶好調だ。「フルーツ宅配便」「日本ボロ宿紀行」、そしてこの「デザイナー渋井直人の休日」である。
主人公の渋井(光石研)は52歳の独身。音楽を聴くのはレコードで、外出時にはダッフルコートがお決まり。仕事はできるし、おしゃれだし、心優しい中年おじさんだ。
美術系を含むサブカルにもくわしくて、自分が好きなものには強いこだわりを持っている。女性に対しては意欲も野心もあるけれど、あまりモテない。そんな渋井の楽しくも、ちょっとほろ苦い日常が描かれていく。
インスタで知り合った女性(内田理央)とのデートは店がどこも満員で、ホテルのレストランに誘ったつもりが誤解されて決裂。昔なじみのスタイリスト(臼田あさ美)に呼び出されていい気分になっていたら、実は不倫相手と別れた直後で癒やしを求めていただけだった。
現在は偶然入った居酒屋で出会ったOL、カモメ(黒木華)と急接近中。やや天然でかなりマイペースだけど、翻弄されている渋井はうれしそうだ。
毎回、ドキドキしながら“ステキなおじさん”であろうとする渋井は確かに痛い。でも、その痛さがかわいく見えてくるのが光石研という役者の真骨頂だ。脇役が主役となった快作「バイプレイヤーズ」を思い出させるこのドラマ、光石にとって俳優生活40年で初の連ドラ単独主演である。