「TATTOO[刺青]あり」環境のせいか、それとも殺人鬼か
1982年 高橋伴明監督
高橋伴明監督の出世作。本作がきっかけで関根恵子(高橋恵子)と結婚した。1979年1月に起きた三菱銀行人質事件の犯人・梅川昭美がモデルだ。先日BDとDVDが発売された。
竹田明夫(宇崎竜童)は15歳で強盗殺人を犯した札付きのワル。少年院を出たのち、胸に刺青(いれずみ)を彫って大阪のキャバレーで働く。ホステスの三千代を強引に口説いて同居を始めるが、酒を飲んでは彼女を暴行。三千代が出ていくと両親に土下座して連れ戻す。明夫は「30歳までに大きなことをやる」と周囲に広言。猟銃のライセンスを取り、銀行襲撃を計画するのだった……。
登場するのは犯罪の周辺に生きる人間たちだ。明夫は当たり前のように主婦を惨殺。三千代はそんな明夫のアウトローな雰囲気に引かれ、明夫から逃げたあとは全身に刺青を彫ったヤクザと同居する。
明夫もヤクザも刺青で虚勢を張る反社会的な人種。しかもヤクザは男を上げるために山口組組長を撃つ。要するに三千代は悪のにおいに引き寄せられる女なのだ。こうした人間模様の中で醜悪な事件の犯人が生み出された過程が描かれる。