立川談志を訪ねて議員会館に「ヘビ」と「カエル」が…
■「会長への道」誕生秘話
そんな因縁もあって談志が葬儀委員長を買って出て、馬風と共に葬儀を仕切った。
「陽気な葬儀だったな。談志兄貴が俺のかみさんを呼んで、師匠のおかみさんに習った民謡を歌わせるわ、アコーディオン漫談の近藤志げるの伴奏で弟子たちが懐メロを歌うわ、大騒ぎよ。にぎやかなのが好きだったおかみさんにとっちゃ、いい供養になったんじゃねえか」
その頃、馬風に新たな売り物ができた。「会長への道」という題の漫談である。内容を説明すると、小さん会長はおかみさんの後を追うだろうから長いことない。幹部の円歌(先代)は若い女房をもらって精気を抜かれてるので間もなくご臨終。談志は誰かの恨みを買って殺される。志ん朝は元気そうに見えるが、実は脱腸を患っている。そして、次々と幹部が亡くなり、馬風が落語協会会長になるというオチだ。
「最初は短いまくらだったんだ。それがだんだん長くなって15分を超え、とうとう一席になった。これは、『どうせ俺なんか、会長になれっこない』と思ったからできたネタでね」
これが寄席で大受けしたのである。 (つづく)