「犬鳴村」清水崇監督が盗撮録画した中国人に激怒の背景
11日、中国・山西省で開かれた第3回平遥国際映画祭でホラー映画「犬鳴村」が上映され、記者会見と舞台挨拶に登壇した清水崇監督(47)が、映画の盗撮について苦言を呈し、話題になっている。
中国人ファンが監督に近寄り、上映中に録画した本編を見せながら「このシーンが好きです」と話しかけられ、登壇時に「中国では当たり前かもしれないが、日本ではあり得ない。監督に対して失礼であり、違法。そういうマナーを学んでほしい」と発言。映画祭側は急きょ公式サイトで「作品の録画や海賊版行為の撲滅に関する声明」を発表し、盗撮行為に警鐘を鳴らした。
製作サイドも文化の違いとはいえ「クリエーターを軽視した行為で、作品が盗撮されて広まるのは本意ではない。犯罪行為たることを周知、改善されることを強く願っています」(担当プロデューサー)と憤りを隠せない。中国人ジャーナリストの周来友氏がこう言う。
■大都市部以外は世界基準のモラルなし
「中国では映画公開と同時に無料サイトに動画がアップされるのが当然で、上海など大都市部では変わりつつありますが、盗撮という概念が非常に薄い。中国人ファンは監督にまさか怒られるとは思っていなかったはず。今回は監督が発言したことで映画祭の担当者が急きょ対応しましたが、今はネット上の声明もなく、残念ながら中国ではすでに収束した様子です。ただ、清水監督の毅然とした態度は中国国内で一目置かれるはずで、今後中国市場でビジネスに取り組むにあたり、いい関係が築けるのではないかと思います」
清水監督の描くノスタルジックなホラーに共感する中国映画市場だが、モラルのインフラ整備にはまだまだ時間がかかりそうだ。