人生に2度死んだ男<1>「なんだ円楽じゃないんだ」の声…
クルクルクル、カターン! ピーポーピーポーピーポー。夜の住宅街に鳴り響く救急車のサイレン、そして救急隊員のタンカに乗せられ運ばれる男は「ウウウ……し、し、死ぬ~」、それを取り囲む人々の手には画像を撮ろうと握られたスマホや携帯電話が……さらにその群衆たちは「えっ、円楽さんじゃないんだ?」と口々に不思議な声をあげるのであった……。
「し、し、死ぬ~」と意識を失いそうになっているのはまさしく俺だ~!! ということで、今回は2010年の中野区のわが自宅前に俺の人生ルーレットは止まったようである。
例えば、あなた、「いや~、死ぬかと思った」という言葉を口にした記憶はありませんか? たいがいの人が人生において数回は発していると思うのです。では、さらにお尋ねしますが、もしその時の状況が悪い方に出ていたら、「本当に死んでました?」。そーなると死んでたと答える人は極端に少なくなるのではないでしょうか?
しかし、俺はこのリアル「死ぬかと思った」を人生で2度も経験しているのです。
まず、冒頭の救急車で運ばれる経緯を説明すると、自宅で一人シャワーを浴びている時に足を滑らせて肋骨付近を強打!! あまりの激痛に浴室の床にうずくまること2、3分、そのうち次第に痛みが弱くなってきたので衣服を身に着けた……と思った次の瞬間、浴室での痛みをはるかに超える痛みが……いえ、痛みを飛び越え、意識がなくなっていくような……。