新しい噺を覚える時は師匠と対面での口伝がルールだが…
「この2週間が勝負」と言われて随分経ちました。「今出たところです」とそば屋の出前の決まり文句を思い出した三遊亭鬼丸です。私の場合4月3日に上野鈴本演芸場で落語をしゃべってから落語をしゃべってません。それでも私はラジオ番組のレギュラーがあるので一日のしゃべる量はそれほど変わってませんが、噺家はそもそもおしゃべりが多いので話せないストレスは相当なものでしょう。Twitterの呟きも増えがちですし、落語のネット配信も増えてきました。
YouTubeの場合、1000人のチャンネル登録者が収益の発生する節目だそうですね。まぁ銭金ではなく何かを発したい欲求がたまってるんですよ、みんな。落語家の配信を見るとスタッフが付いて企画として持ち込まれたと思われるものから、自宅で自発的に行ってるものまで、さまざまですね。内容も落語だけではなく落語家あるあるを短い動画にしたり(林家はな平)、噺家の手ぬぐいを紹介したり(五明樓玉の輔)とバラエティーに富んでます。よかったら調べてご覧ください。
そもそもこういうときには噺の稽古をするべきなんですが、新しい噺を覚える時に、我々のルールでは対面での口伝という濃厚接触に該当するため、今はなかなかできないんですよね。目の前で教えてくださる師匠が一席実演し、それを覚えたあと、今度はこっちが実演し、間違いを直してもらってはじめて自分の持ちネタにできるんです。覚えたいネタをなかなか教わりに行けないというジレンマ。