コロナ禍で噺家も生きていくのに必死は必死なのですが…
4月4日から都内の寄席全てが閉まり2週間が過ぎます。そして主な収入源である営業の仕事はすでに3月上旬から全くない状況に陥っている落語家たちはこのままいけば座して死を待つのみです。
林家木久扇師匠は弟子に対して「この状況の中だからこそ新しいお金の稼ぎ方を考えなさい」と言ったそうです。その木久扇師匠の弟子、芸歴10年目の林家けい木君はいち早く得意のモノマネを生かしたコンテンツ配信やテレワーク落語会を始めて世間や業界内にフットワークの軽さとネット時代の対応力を見せました。さらに木久扇一門の兄弟子にあたる林家彦いち師匠は弟子3人とマスク製造(写真)に乗りだしました。取材も受けているようですが、「じっとしてるのは芸人じゃない。とにかく面白そうなことをやるのが芸人なんだ」という意気込みが伝わってきます。あと弟子3人を使ってというところがミソで、これにより弟子に表立って現金を渡すことができます。弟子にお金を稼ぐ手段をつくってあげるという親心でしょう。
実は我々の業界の師匠と弟子の関係は世間には分かりづらい微妙さがありまして、小遣いを渡す筋合いはないけど面倒は見てあげたいというツンデレ感があるんですよね。ですから他にもTwitterなどで若手芸人の動きを見ていると、今回の状況下で師匠の家でご飯を食べさせてもらっている弟子が増えてるような気がします。窮地の時だからこそ助ける、面倒を見る、それもやり過ぎないぐらいの自立心を育てさせながら。若手は手ぬぐいなどのグッズを通販で売ったりいろんな方からの助けを受けながらくじけずにいつの日か日常に戻るときのために稽古をしながら必死に食いつないでいるようです。ただ実は現在でも噺家は誰一人慌ててはいないかもしれません。なぜなら皆がこの商売につく時には腹をくくって、食える儲かるとは思わずに入ってるんですから。