ヤクザ役で活躍「ピラニア軍団」故・志賀勝さんの強面伝説
4月3日、俳優の志賀勝さんが亡くなった(享年78)。東映専属俳優として時代劇からヤクザ映画まで長年にわたり脇役俳優として活躍した。死亡記事も脇役らしく小さく載っただけだったが、京都で過ごした人生は型破りだった。
志賀さんと最後に会ったのは6年ほど前のこと。久しぶりに近況を聞こうと京都に出向いた。体調が悪いこともあり、「昼間でいいか」と言ってきた。京都市内のホテルのラウンジで待ち合わせ。強面の顔が入って来た。剃り込んだ眉とトレードマークの薄茶のサングラスは変わらないが、片手には杖。脇には奥さんが体を支えるように付き添っていた。脳梗塞・拡張型心筋症などで何度となく入退院を繰り返し、体はボロボロの状態だった。
奥さんがコーヒーを頼むのを制するように、「久しぶりに会ったのに、コーヒーは失礼や。ビールでも飲もうや」とビールを注文。奥さんいわく「私が付いてきたのは体を支えることよりも、どこかに飲みに行く心配があったから」。
1杯だけと言われた小さなグラスの生ビールを少しずつ飲む。「うまいな」という言葉は実感がこもっていた。ビールで口も滑らかになったのか、昔話に花が咲いた。