ヤクザ役で活躍「ピラニア軍団」故・志賀勝さんの強面伝説
「若い頃は毎晩、この界隈でよう飲んだな」と昔を懐かしむようだった。
東映時代劇時代の斬られ役だった父親(加賀邦男)の影響もあり、志賀さんも東映の大部屋俳優に入った。同期は松方弘樹と北大路欣也。
「同期といっても2人は別格。弘樹とは個人的には仲良かったけど、父親(近衛十四郎)は主役スター。弘樹も最初からスター。俺たち親子は揃って斬られ役。雲の上のような存在だったけど、普段は弘樹と呼んで、弘樹の家に遊びに行けば、高そうな酒を狙って飲む悪友だった」
志賀さんと飲むきっかけになったのは「仁義なき戦い」のヒットで主役と共に注目された川谷拓三・室田日出男(いずれも故人)らと立ち上げた「ピラニア軍団」だった。
取材は決まって河原町・先斗町界隈の酒場に繰り出すが、映画からそのまま抜け出したようなヤクザ風の服装。強面の顔がスナックで声を荒らげて飲んでいれば、他の客は寄り付かない。なかでも志賀さんは剃った眉とサングラスの奥の光る怖い目はひときわ目立つ。しかも足元は下駄ばき。