著者のコラム一覧
本多正識漫才作家

1958年、大阪府生まれ。漫才作家。オール阪神・巨人の漫才台本をはじめ、テレビ、ラジオ、新喜劇などの台本を執筆。また吉本NSCの名物講師で、1万人以上の芸人志望生を指導。「素顔の岡村隆史」(ヨシモトブックス)、「笑おうね生きようね いじめられ体験乗り越えて」(小学館)などの著書がある。新著「1秒で答えをつくる力──お笑い芸人が学ぶ『切り返し』のプロになる48の技術」(ダイヤモンド社)が発売中。

銀シャリの直らない語尾“おまえ”問題 悪癖を直すために…

公開日: 更新日:

 それでもまだ橋本君の“ツッコミ問題”が……。「違うやろ、おまえ」「なんでやねん、おまえ」という具合にどこでも“おまえ”をつける。ボケに対して「違うやろ!」「なんでやねん!」とスパッと切る方が、ボケが際立つのですが、“間があく”不安から、語尾に「おまえ」をつけてしまうのです。語尾に「おまえ」をつける癖は指摘されても口癖になってしまって、なかなか直りません。そこで、私は銀シャリのネタを見ながら「正」の字を書き、「今日は24回!」「今日は18回もおまえ言うてたで!」と注意していました。ちなみに、かまいたちの濱家君も語尾の「おまえ」がなかなか直せなかったひとりですが、あるコンビの「おまえ」だらけのツッコミを聞いて「ほんまに耳障りやわ!」と気づき、意識を高めて我慢できるようになってきました。

 そんな試行錯誤を繰り返し、2016年のM―1の時には「おまえ」を挟む“間”をつくらないネタで挑み、数回は言っていましたが格段に少なくなり、明らかにツッコミの切れ味が良くなって、より笑いがくるように改善されていました。

 自分たちのスタイルを持ちながら、アドバイスには真摯に対応して、腑に落ちたことは貪欲に取り入れていく。この姿勢が厳しい世界を生き残っていくには大切なポイントだと思います。いま舞台で演じている銀シャリは余裕とほどよい緊張感があって、しっかり客席を巻き込んだ笑いを取っています。

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