追悼ショーン・コネリーさん ボンドは雲の上の存在だった
ボンドは格闘技にたけてはいるのだが、登場した悪党一味のオッドジョブというアジア系の巨漢にはかなわなかった。だから、弱いボンドにだんだんと感情移入ができて「ボンド負けるな」と応援するようになっていた。その巨漢はツバに刃物を仕込んだ黒い山高帽を投げて、ボンドを殺そうとする奴で、ハロルド坂田という、力道山と喧嘩したのが縁でプロレスを教えた、アメリカの日系ヒールレスラー。この後、日本のプロレスにも参加した人気者のおっさんだった。
この映画は世界興行収入で1位、日本公開でも1位だった。キューバ危機からは脱したが、べトナムで米軍とソ連・中国軍の代理戦争が本格化して世界中がキナくさくなる中、マンガだが妙にリアルなこのスパイ劇に人々は何を託して見たのだろう。S・コネリーのボンドは国際経済秩序の危機一髪を陰で解決するために、奔走したのは確かだ。
くしくも、「プッシー」役のオナー・ブラックマンさんも今年4月に94歳でお亡くなりになっていた。ご両者、長寿を全うされて何よりだ。これで追悼になったか。今宵は謹んでDVD観賞し直すよ。ボンドの好物シェーク・マティーニは家にないけれど、まあいいや。