ゴミ出しができない高齢者 20世帯に1世帯はゴミ屋敷に…
ある女性の80歳の父は昨年妻を亡くして一人暮らしになった。3カ月ぶりに帰ると奥の和室にゴミ袋の山。家事を任せっきりだった父は、ゴミ出し経験がなく、分別がうまくできなかった。「出し方が違う!」と近所の人からゴミ袋を戻され、それからゴミ出しが怖くなり、できなくなってしまった。
雑誌「女性自身」の試算によれば、世帯主が75歳以上で、高齢者自らゴミ出しを行わなければならない世帯の数は、2025年には約858万世帯となる。75歳以上で、要介護認定を受けた人の合計割合は31・9%。つまり、25年には858万世帯の31・9%である約274万世帯でゴミ出し困難になると予想される。この数字を全世帯において換算すると、全国で20世帯に1世帯はゴミ屋敷になってしまうのだ。
自治体でゴミ出し支援を行っているところもあるが数は少ない。金儲けに聡い人なら、これをビジネスにしようとするだろう。しかし医療費も上がろうという高齢者に新たな負担の余裕はない。これは現在のゴミ出しのシステムを根本から国が考え直さなければいけないのではないか。
現在でさえゴミ収集員は走りながら必死で町を回っている。高齢者の家までゴミを取りに行く余裕は全くない。それなら、民間の業者に国が金を出し、あらかじめ高齢者の家からゴミを出すシステムを考えてはどうか。お得意の中抜きもしやすかろう。いや、してもらっては困るが。そうしないと日本中がゴミで埋まる。
コロナは見えないが、ゴミはそうはいかない。