追悼・若松武史さん 毒と華を併せ持つ希代の俳優だった
個性派俳優の若松武史さんが甲状腺がんのため14日に亡くなった。享年70。NHK大河ドラマ「武田信玄」「龍馬伝」「八重の桜」をはじめ、多数のテレビ、映画にも出演した。「武田信玄」では信玄の弟・信繁役に抜擢され、その演技力が高く評価された。
東京出身。日大芸術学部在学時代に学生劇団「転倒虫」を結成。寺山修司の「毛皮のマリー」を上演したことから寺山演劇に傾倒し、寺山が主宰する演劇実験室・天井桟敷に入団。跳躍力を生かした独特の身体表現で注目され、中・後期天井桟敷の中心俳優として活躍した。彼がポーランドの前衛演出家グロトフスキーに触発されて編み出した「大滅亡」という跳躍と痙攣の身体術は海外公演で観客の度肝を抜き、天井桟敷演劇の代名詞ともなった。
1983年に寺山が死去し、劇団が解散するとミュージカル、ストレートプレーと活躍の場を広げた。