加山雄三「聖火ランナー」辞退 リアル東京五輪世代の気骨
歌手の加山雄三(84)が9日、東京五輪の聖火ランナーを辞退したことを発表し、波紋が広がっている。
加山は公式サイトで「この世界の状況を見た時、手放しに開催を喜ぶことが僕は出来ません」とコメント。加山は昨年8月に小脳出血で緊急入院し、芸能活動を休止、今年4月に新曲をリリースして活動再開したばかり。28日に神奈川県藤沢市内を走る予定だった。相次ぐ芸能界の参加辞退表明のなか、加山が東京五輪の聖火ランナーに異を唱えたことは五輪推進派からすれば痛いマイナスだろう。「今回目玉のマリンスポーツを盛り上げるためにも若大将には聖火ランナーとして走って欲しかった」(大会関係者)という声もある。芸能文化評論家の肥留間正明氏がこう言う。
「加山さんは64年の東京五輪の頃、20代半ば。当時の国民が一丸となってオリンピックに向かう姿を見ていただけに、現在のように意見が割れている状況に違和感があったのでしょう。64年大会はもっとシンプルで、これほど商業主義ではなかったし、五輪の在り方も昔と変わっている。高齢、病気を理由にすることもできたはずですが、あえて加山さんが辞退理由を述べた背景には東京五輪経験者ならではの意図があったのでは。常識ある加山さんの発言を称賛こそすれ、批判する人はいません」
リアル東京五輪世代・加山雄三の説得力。若大将の気骨と矜持を見た。