「新東宝スターレット」6期生のオーディションに中学3年生の沢村忠の姿が
同時に大蔵貢は経費削減の一環として、ギャラの高いスターを忌避し、割安な無名の役者を抜擢。同時に新人の育成にも余念がなく、俳優座の宇津井健、ファッションモデルだった菅原文太、美貌が知れ渡っていた三越店員の前田通子らをスカウト。さらに「新東宝スターレット」と称した全国オーディションを行い、1期生として高島忠夫、天知茂、左幸子、三原葉子ら、その後のスターを輩出している。
その「新東宝スターレット」の6期生のオーディションに、青山中学3年生の少年が応募してきた。クラスの級長を務める優等生でありながら、空手の経験を持ち、球技にも秀でるなどスポーツ万能。彼の姿形は審査を務めた新東宝経営陣の目に留まった。少年の名前は白羽秀樹といった。後のキックボクサー、沢村忠である。(つづく)