2年ぶりに帰ってきた海老蔵! 1人で5役「雷神不動北山櫻」演じる
海老蔵が2年ぶりに歌舞伎座に出演し、第3部で「歌舞伎十八番」の「毛抜」「鳴神」「不動」の3つが含まれる「雷神不動北山櫻」で、5役を演じた。
何度も上演してきた、まさに十八番ものを持ってきての「帰ってきた海老蔵」である。海老蔵の出る第3部のみ16日までと公演数が少ないこともあり、早々と完売。
海老蔵には歌舞伎座の大舞台が合うし、歌舞伎座には海老蔵が必要だと、再確認する。仁左衛門と玉三郎とは別の意味での興奮が歌舞伎座に戻ってきた。あの不必要なまでに横に長い舞台が狭く感じる。エネルギーが充満する。
第1部の「あんまと泥棒」は、市川中車と尾上松緑の2人しか出ない、対話劇。もとはラジオドラマだったものを舞台化。中車のはまり役となってきた。結末が分かっていても、最後まで息を抜けない。中車の過剰な演技に対する松緑の困惑ぶりのバランスがいい。
第1部もうひとつは市川猿之助が6変化する舞踊劇「蜘蛛の絲宿直噺」。昨年11月に上演したばかりだが、好評につき再演ということらしい。コロナ禍という事情は分かるが、他のものはなかったのだろうか。