<22>クリスマスイブに購入した愛犬の「イブ」
2017年の夏過ぎに野崎幸助さんが夢中になっていた女性がいた。鮎子さん(仮名)だ。
その5年ほど前、ドン・ファンは前妻と離婚していた。彼は、この2番目の妻に未練があり、何度も復縁をオファーしていたものの、願いはかなわなかった。10年ほど続いた結婚生活であったが、前妻は働き者で「アプリコ」の仕事にも熱心だった。気配りができる女性として従業員からの信頼もあった。しかし、浮気性のドン・ファンとのケンカは絶えることがなく、ある日、ベンツと共に家を飛び出していったのである。
彼女は犬を飼いたいとドン・ファンにねだり、クリスマスイブに購入した愛犬は「イブ」と名付けられた。この時はミニチュアダックスフントのメス犬を2匹購入し、もう1匹は「モエ」と名付けられたのだが、しばらくして亡くなり、イブだけが残った。モエはシャンパンの名前から付けられたようで、アプリコが酒類販売をしていたからと聞いている。
■「ワシが死んだら遺産はイブに」
子供がいなかったからなのだろうか、ドン・ファンはイブを実子のようにかわいがり、「ワシが死んだら遺産はイブにあげる」と周囲に吹聴していた。