<64>愛犬イブを偲ぶ会の時間になっても、早貴被告はスマホで会話を続けた
「そろそろ始めましょうか? 早貴さんはどこに行ったの? 呼んできてくれませんか?」
イブの偲ぶ会のため、「かんぽの宿」に先に来ていた野崎幸助さんにお願いされて探しにいくと、フロント脇の喫茶室の横で壁にもたれてスマホを耳に当てている彼女がいた。
「もう始まるから。社長が呼んでいるよ」
電話中の彼女に声をかけて宴会場に戻ってしばらくすると、従業員のひとりが遅れるという連絡があり、先に会を始めようということになった。ところが、まだ早貴被告は戻ってこない。
■終始、ご機嫌で…
「あいつ、何をやっているんだ!」
社長の声が鋭くなったので、私は再び彼女を迎えにいった。壁にもたれてスマホを耳にしている彼女はご機嫌で、ほほ笑みを浮かべている。
一体誰と長話をしているのだろうか? 私は不思議だった。彼女がこんなに長電話をする相手って誰なんだ? 札幌の母親とはしょっちゅう電話をしていることは知っているが、みんなが集まる時間が過ぎても電話をしている相手の想像はつかない。