五木ひろしもついに卒業…「紅白の演歌離れ」から見えてくる世相とは
真っ先にメスを入れたのが演歌枠を中心にしたベテラン歌手だった。落選を言われた和田アキ子は「もう紅白は見ない」とぶちまけて話題になった年もあったが、ベテランは後輩に席を譲るように静かに卒業していく手本を示したのが北島だった。倣うように森・五木も続いた。
会社の窓際族のように迫る落選の文字。かつて紅白合わせて10人は下らなかったが、昨年は紅・白4人ずつ。代わってジャニーズを中心に若手や新たなジャンルの歌手が年々増える。高齢者は「この歌手、だれ」と目を丸くするが、音楽関係者は「昔は演歌歌手が紅白出場で営業につなげたが、今は若者に人気の歌手が紅白に出ることで、音楽配信やCD売り上げに好影響を与える」という。
演歌界が氷河期といわれて久しい。歌番組に地方営業の減少。ヒットメーカーが競った昭和と違って、作曲家・作詞家がいない。さまざまな影響が重なりヒット曲が生まれない悪循環。打破するために歌手は新たな策を打ち出している。五木の紅白卒業で白組の顔になった氷川きよしも、最近は演歌というよりビジュアル系ポップス歌手のように変身している。