矢作穂香は「意外性の女優」個性的な役を的確に演じることができる
矢作穂香がまだ10代だった頃から何度かインタビュー取材したことがあるが、普段の彼女は明るくてマイペースな女性で、毒舌を吐いたり、ほかの人にツッコミを入れるようなタイプではない。
2年前にタレントパワーランキングのウェブサイトで取材したときに「先を見据えて考えていくことも大事だと思いますが、まずは今を楽しく過ごして、幸せな将来になればいいなと思っています。私だけじゃなくて、全世界の人が幸せになったらいいなって」(ウェブ「タレントパワーランキング」アーキテクト・2018年10月配信)と語ったのが印象的だった。心やさしい人柄がよく出ている。
SNS時代の今、たとえそれが演技であっても、一つ間違えるといろいろ言われてしまって炎上しかねないので、女優にとって毒づく人物を演じるのは勇気がいることだと思う。そこに切り込んでいって、嫌みがなくて爽やかな主人公をつくり上げているところに、演技力の高さを感じる。
自由奔放な役、やんちゃな人、「監察医 朝顔」(フジテレビ系)第2シリーズのゲストで演じた移動パン店の店員役のような笑顔の裏に秘密の顔を持つ女性など、同世代のほかの女優があまりやらない個性的な役を的確に演じる力を持っていて、かつ主演ができるという点が矢作穂香の強みだ。
彼女は「意外性の女優」だ。演じる役と素顔のギャップと、ドンデン返しのある役柄のうまさが魅力的で、彼女の演技には、街角の路地を曲がると見たこともない絶景が待っているかのような、ワクワクとドキドキが秘められている。