NHK朝ドラ「カムカムエヴリバディ」は“あざといつくり”だから期待できる
「3人のヒロインのリレーというのはもちろん初めてで、注目されていますが、意地悪な見方をすれば、著名な女性がモデルのお話ではないので、一人のヒロインで半年持たせるのはつらいということでもあるのでしょうね。まあ、現代までの1世紀を描くので、視聴者は“自分の時代”が必ずどこかで出てくるというのがミソです」(放送作家)
祖母の安子世代には漫才コンビ「エンタツ・アチャコ」や阪東妻三郎、嵐寛寿郎らの銀幕スター、母・るい世代はジャズ喫茶と江利チエミ、ひなた世代はテレビ時代劇ブームと、思わず「懐かしい~」と叫んでしまう仕掛けが用意されている。
見どころのひとつは上白石の英語力だ。授業の30%が英語で行われる明治大国際日本学部の卒業で、発音もほとんどネーティブ並み。海外向けに日本の魅力を発信する全編英語ドラマ「Home Sweet Tokyo(ホーム・スイート東京)シーズン4」(NHK・BSプレミアム)にも出演し、流暢な英語を披露した。この朝ドラでも、英語のセリフは米兵役の俳優よりもきれいな発音だという。
もうひとつの楽しみはさだまさし演じる平川唯一。敗戦後に始まった通称「カムカム英語」の講師で、番組タイトルの「カムカムエヴリバディ」も、平川が童謡の「証城寺の狸囃子」の替え歌で作った番組テーマソングの歌詞だ。敗戦時の玉音放送を英訳して外国向けに朗読したり、番組のヒットで所得番付1位になったりと、エピソードの多い人物で、このドラマのもうひとりの主人公である。