<82>早貴被告は家政婦への3000万円の支払いを拒否した
家政婦の大下さんは内心、早貴被告のことを嫌っていた。それは同じ屋根の下で暮らす本人もうすうす感づいていたと思う。
早貴被告が大下さんの娘さんと会った時に「お金持ちを紹介しようか」と言ったと、大下さんがあきれかえっていた記憶もある。
「中国や中東の大金持ちと付き合いたかったら紹介するって言ったんだって。あの娘はロクでもないって娘も言っていた」
「へえ、そうなの?」
「あの娘ね、自分で買ってきたケーキをリビングで食べていても、決して社長にあげることもしないから。冷蔵庫には他にもケーキがあるのに、『どうぞ』と勧めることはないし、もちろん私にごちそうしてくれたこともないのよ」
そんな早貴被告の3000万円発言は、大下さんに相当なインパクトを与えたように思う。
「早貴ちゃん、早貴ちゃん」
それ以来2人の仲は急速に良くなったのだ。
しかし、結局、大下さんにお金が渡ることはなかった。