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吉田隆記者、ジャーナリスト

1984年に写真週刊誌「FRIDAY」の創刊準備メンバーとして専属記者契約を結ぶ。87年の大韓航空機爆破事件では、犯人の金賢姫たちが隠れていたブダペストのアジトを特定、世界的に話題となる。初代「張り込み班チーフ」として、みのもんたや落合博満の不倫現場、市川染五郎(現・松本幸四郎)や石原慎太郎の隠し子、小渕恵三首相のドコモ株疑惑などジャンルを問わずスクープ記者として活躍。

<120>ドン・ファンの資産は凍結されたが…アプリコの運営資金1億円弱が早貴被告らに流れていた

公開日: 更新日:

「そんな遺言は全くのウソよ。Mの魂胆は分かっているから」

 金庫番の佐山さんはウラのことを知っているようで、Mが「いごん」を持っているという情報を聞いて意味深な笑みを浮かべていたのが印象的であった。

 この日の検認というのは「確かにこのような遺言がありますね」という確認のためで、真贋を見極めるわけではなく、1時間ほどで終わった。

 一方で私はアンテナを広げ、早貴被告や弁護士たちが次に何を仕掛けてくるかを探るため、情報収集に躍起になっていた。するとアプリコから早貴被告及び弁護士たちにお金が振り込まれたという情報が耳に入ってきた。

■運営資金は2億円

 ドン・ファンが死亡して野崎幸助個人の預金や不動産は凍結され、遺産分割が確定しない限り引き出すことも売買することも禁じられているのは知っての通りである。しかし、アプリコ名義の約2億円は運営資金として動かすことができた。しかも貸金業をしていた当時の客からの返済振り込みや所有しているマンションの賃貸料が入ってくるので、アプリコの従業員たちに給料を支払っても毎月の額は減らないとも耳にしていた。

 毎月それを運用して酒類販売業を継続させ、不動産管理をするべきだと私やマコやんが提言していたのは前に述べたが、会社の資金のうち1億円弱が「アプリコ」から早貴被告や弁護士たちに振り込まれていたのだ。

(つづく)

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