著者のコラム一覧
伊藤さとり映画パーソナリティー

映画コメンテーターとして映画舞台挨拶のMCやTVやラジオで映画紹介を始め、映画レビューを執筆。その他、TSUTAYA映画DJを25年にわたり務める。映画舞台挨拶や記者会見のMCもハリウッドメジャーから日本映画まで幅広く担当。レギュラーは「伊藤さとりと映画な仲間たち」俳優対談&監督対談番組(Youtube)他、東映チャンネル、ぴあ、スクリーン、シネマスクエア、otocotoなど。心理カウンセラーの資格から本を出版したり、心理テストをパンフレットや雑誌に掲載。映画賞審査員も。 →公式HP

日本人が「スパイダーマン」に惹かれるワケ 最新作出演のB.カンバーバッチ“浴衣ノリノリ”秘話も

公開日: 更新日:

最新作のキーワードは“マルチバース”

 2022年の幕開けは賑やかに華やかに、といきたいところに誰もが待ちわびていた『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』が1月7日から公開。この若き主人公スパイダーマンの映画も、マーベル・コミックのスーパーヒーロー映画を軸としたマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のひとつ。それらはマルチバース(宇宙は複数ある=パワレルワールド)の概念で展開されていくと言われています。

“マルチバース”だから実現できる壮大なスケールの作品に仕上がっている本作。スパイダーマンの活躍が描かれるのはもちろんですが、物語の鍵を握るのは実はスパイダーマンではなく、アベンジャーズの仲間として共に戦った魔術師ドクター・ストレンジです。彼は時空の壁を開け、移動できる魔法を操れるのですが、今年は本作以外にもドクター・ストレンジ自身が主演の映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の公開も5月に控えています。その作品では、ストレンジが禁断の呪文により時空を歪ませてしまい、“マルチバース”の扉が開かれる物語になると説明されています。

◯シリーズファンなら満足度120%!歴代ヴィラン大集合

 そんなドクター・ストレンジを頼ったスパイダーマンが遭遇する“マルチバース”による災難が描かれる『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』。本作ではなんと歴代ヴィランが登場するという驚きの展開が待ち受けています。それは現在のトム・ホランド版より前の作品となるサム・ライミ監督のトビー・マグワイア版『スパイダーマン』シリーズに出ているグリーン・ゴブリンやドクター・オクトパス、サンドマンの他に、マーク・ウェブ監督のアンドリュー・ガーフィールド版『アメイジング・スパイダーマン』シリーズのリザードやエレクトロといった敵が同じ世界に現れるというマルチバースの提言がない限りなし得ない物語でした。

 ですので、新作を見る前に『スパイダーマン』と名の付く映画シリーズを見ておくとより楽しめるのでオススメです。できれば本作より早く“マルチバース”を描いたアニメ映画『スパイダーマン:スパイダーバース』もチェックしておくと映画における細やかな遊び心にも気づくはず。まさに新旧の『スパイダーマン』映画を愛する人にはたまらない仕掛けが満載の新作となっているのです。

 全米ではすでに12月に公開され、本国におけるオープニング興行成績として歴代2位という数字を叩き出し、驚異的な大ヒットを記録し続けています。

なぜそこまで日本人を惹きつける?

 そんな本作は、日本でも大ヒット確実といわれています。その理由は、『スパイダーマン』シリーズが公開されるたびに日本でも大ヒットを記録しているのはもちろんのこと、アメコミにおけるスーパーヒーローの人気No.1は世界的に見ると「スーパーマン」にもかかわらず、日本では様々な映画サイトの統計で「スパイダーマン」という結果が出ているからです。ではなぜ、そこまで日本人を惹きつけるのでしょうか?

 理由はいろいろとありますが、まず「スーパーマン」や「キャプテン・アメリカ」のようにマッチョでも聖人君主でもない「スパイダーマン」は、ひょろりとした親近感がわく体型であること。そして日本人は苦難を乗り越え、努力する過程を評価する傾向が強いので、普通の少年がヒーローに成長していく姿を描く「スパイダーマン」を好むのも心理学的に見て納得の結果なのです。

 さらに今回、スパイダーマンが直面する問題は、単なる悪の敵ではなく、ニュースから生まれた大きな誤解と本当の正義を学ぶ哲学的な要素も含んだエンターテイメントへと発展。今問題のネットやニュースで声の大きな人をつい信じてしまう集団心理を題材にしつつ、全人類批評家時代といわれる現代社会に一石を投じるような作品へとステップを踏んだ『スパイダーマン』。きっとさまざまな世代の思考に影響を与えることでしょう。

浴衣でノリノリだったベネディクト・カンバーバッチにも注目

 ちなみにドクター・ストレンジ演じるベネディクト・カンバーバッチは、人気ドラマ「シャーロック」をきっかけに日本でも人気に火がついた英国俳優。実は映画『スター・トレック イントゥ・ダークネス』で来日した際に司会を担当したのですが、映画配給会社が用意した浴衣をノリノリで着た彼は「自宅でパジャマとして着る」と言い、しっかりと持ち帰ったウィットに飛んだ長身の英国紳士でしたよ。今年は彼の活躍にも目が離せない年になりそうです。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  2. 2

    大山悠輔逃し赤っ恥の巨人にOB評論家《良かった》 FA争奪戦まず1敗も…フラれたからこその大幸運

  3. 3

    悠仁さまの進学先に最適なのは東大ではなくやっぱり筑波大!キャンパス内の学生宿舎は安全性も高め

  4. 4

    過去最低視聴率は免れそうだが…NHK大河「光る君へ」はどこが失敗だったのか?

  5. 5

    八村塁が突然の監督&バスケ協会批判「爆弾発言」の真意…ホーバスHCとは以前から不仲説も

  1. 6

    《次の朝ドラの方が楽しみ》朝ドラ「あんぱん」の豪華キャストで「おむすび」ますます苦境に…

  2. 7

    国民民主党・玉木代表まだまだ続く女難…連合・芳野友子会長にもケジメを迫られる

  3. 8

    「人は40%の力しか出していない」米軍特殊部隊“伝説の男”が説く人間のリミッターの外し方

  4. 9

    瀬戸大也は“ビョーキ”衰えず…不倫夫をかばい続けた馬淵優佳もとうとう離婚を決意

  5. 10

    迫るマイナ保険証切り替え…政府広報ゴリ押し大失敗であふれる不安、後を絶たない大混乱