<140>2019年12月、アプリコ“社長”早貴被告と2人の弁護士を東京地裁に提訴
当然のことながら裁判は原告側の主張に沿って進んでいった。アプリコ側は、私が面識のない大阪の弁護士を新しく担当にしていた。何度かの和解勧告の末、21年春にはアプリコ側が足りない分の過払い金を支払うことで同意し、和解書が作成されて返金が振り込まれる予定になっていた。しかし、4月28日に早貴被告が逮捕されて状況が変わる。会社の代表となっている彼女の同意を取るのに時間がかかってしまったのだ。
そこに首を突っ込んできたのが田辺市である。「アプリコの破産申し立てをする」と、渥美弁護士側に通告してきたのだ。
アプリコには大きな負債はない。強いてあげるとすればFさんへの過払い金の返還がある。しかし、それを払ったとしても破産に陥るような状況でないにもかかわらず、田辺市は口出ししてきたのだ。
行政がこんなことにクビを突っ込んでくるものなのか。しかも田辺市が主張する自分たちの負債というのが、野崎幸助さん個人がアプリコに貸していたとされる約8億円だというのだから呆れてしまった。野崎さんが貸し付けたという契約書は存在しておらず、帳簿上だけの貸し付けであり、とても信じることができないずさんなものだ。田辺市側はそれが弱点なことを分かっていて「契約書はないが、帳簿上はそのようになっている」ことを盾にして主張は正しいとしている。