だいたひかるさん出産の喜びを語る 乳がん全摘出、最後の受精卵が着床

公開日: 更新日:

だいたひかるさん(芸人/46歳)

「どーでもいいですよー」とテンション低めで語るピンネタでブレークして以降、バラエティーで活躍するピン芸人のだいたひかるさん。2016年に乳がんが発覚。闘病後もそれ以前から続けてきた不妊治療を諦めず昨年ついに妊娠。1月に第1子となる男児を出産した。今回話してくれたその瞬間は著書「生きるために、捨ててみた。」のテーマでもある、がんと宣告されて断捨離を決意した時と、昨年の妊娠がわかった時……。

  ◇   ◇   ◇

 38歳で結婚し、子供が欲しいのですぐに不妊治療を開始しました。だけど、40歳のある日、不正出血をしてしまい、その日行う予定だった受精卵の移植が中止になったんです。休みをとっていたから時間が余ってしまったので、「乳がん検診に行ってなかったし……」と軽い気持ちで検診に行ってみました。

 そうしたら先生が私の胸を正面からちょっと押しただけで「右しこり」「乳がん」だと言うんです。宣告された瞬間は申し訳ないけど、「ヤブ医者だ」と思いました(笑い)。もっと丁寧に触って言うならわかりますけど、あまりにも一瞬だったので。

■死んだ時のことを考えて断捨離を

 乳がんとわかると不安になる一方、断捨離しようという気持ちも芽生えました。病気になったことで夫や親に迷惑をかけるのに、私の持ち物を残して死んだら最後まで迷惑をかける。それはイヤだな、と。それまでは子供の頃に使っていた物まで持っていましたから、40年分の思い出が部屋にあったわけです。

 でも、乳がんなんだと知るとどこまでも続くと思っていた人生に限りがある、自分もいつかは死ぬんだと自覚。「部屋だけは奇麗にして、夫が生活しやすいようにしておきたい」という気持ちにだんだんなっていき、術後1年たったくらいの時に生活用品以外の物を「1日1捨」することに決めたんです。

 がんだとわかった直後は一気に物欲がなくなったものの、がんになっても長生きしている人がいると知ってからは、また物欲が出てきました(笑い)。とはいっても、やたらストック買いすることをやめ、捨てるか捨てないかの判断はすぐにできるようになりました。

 ちなみに、洋服は以前の10分の1になり、読み返さない本は重要なところだけメモして処分。物ではないけど、通帳も1つにしたら、すごい有効的でした。いくつか持っていても暗証番号を忘れちゃうし(笑い)、シンプルに1つにまとめておけば自分の財産が明白ですしね。

 実は乳がんは手術して終わりではなく、抗がん剤治療もやって全摘出しました。にもかかわらず3年後の19年、43歳で再発し、そこで一度は子供を諦めました。だけど、結局、がん治療の前に凍結してたった1つだけ残していた受精卵のことが気がかりで。

 さらに、片づけをするうちに夫の子供時代の写真が出てきて、子供が欲しい気持ちがまた強くなりました。ただ、乳がんが遺伝性なら残ってる胸も卵巣もがんになりやすいので摘出した方がいいと聞いて。だとしたらもし検査を受けてがんが遺伝性だったら完全に子供を諦めようと。覚悟してその検査をしてみたら遺伝性じゃないことがわかったんです。

 卵巣を残せることになって「後悔したくない! ラストチャンスだ」と決めて、ラスト1個の受精卵を子宮に戻しました。夫は私が生きていれば子供は無理しなくてもいいと言ってくれたけど、生きている限り挑戦したい気持ちでした。

妊娠を知った夫は「おお!」私は気持ちを抑え…

 そして45歳になった去年の5月、無事に着床していることが判明。病院で「妊娠」と聞いた瞬間、夫は「おお!」と喜んでました。私はというと両手を上げて喜びたい気持ちを抑えて、「この妊娠の継続率はどのくらいですか」と現実的に聞いていました。

 不妊治療の難しさを自分なりにわかっていましたし、これから出産まで長いスパンがありますから最後までいけるか不安で。だけど、今年1月14日、無事に男児を出産しました。子供に出会えた時の気持ちですか? 今までに味わったことのない感動がありましたね。

 振り返ると断捨離をして、部屋だけでなく、心と体の風通しをよくしたことで、子供という新しい風が入ってきてくれたのかなと思います。この意味でも、乳がんをきっかけに断捨離をしてよかったと思います。部屋を片づけて人生の新陳代謝みたいなものが起こったのかもしれません。

 おそらくこれからは子供の物で部屋がいっぱいになると思います。その分、断捨離を続けて私と夫の物をもっと削り、シンプルにしていこうと考えています。

■当面は子育て中心、将来的には単独ライブをやりたい

 この先、しばらくは子育て中心ですが、将来的にはネタの単独ライブをやってみたいです。私、芸歴23年ほどで単独ライブを1度しかやったことなくて。いつになるかわかりませんが、ネタをためておきますので、ぜひその際は遊びに来てくださいね。(聞き手=松野大介)

▽本名=小泉ひかる 1975年5月、埼玉県出身。98年から芸人活動。2002年に第1回R-1ぐらんぷり優勝。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  2. 2

    周囲にバカにされても…アンガールズ山根が無理にテレビに出たがらない理由

  3. 3

    中森明菜が16年ぶりライブ復活! “昭和最高の歌姫”がSNSに飛び交う「別人説」を一蹴する日

  4. 4

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  5. 5

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  1. 6

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  2. 7

    「ダウンタウンDX」終了で消えゆく松本軍団…FUJIWARA藤本敏史は炎上中で"ガヤ芸人"の今後は

  3. 8

    のんが“改名騒動”以来11年ぶり民放ドラマ出演の背景…因縁の前事務所俳優とは共演NG懸念も

  4. 9

    フジ経営陣から脱落か…“日枝体制の残滓”と名指しされた金光修氏と清水賢治氏に出回る「怪文書」

  5. 10

    大物の“後ろ盾”を失った指原莉乃がYouTubeで語った「芸能界辞めたい」「サシハラ後悔」の波紋

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  2. 2

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  3. 3

    中森明菜が16年ぶりライブ復活! “昭和最高の歌姫”がSNSに飛び交う「別人説」を一蹴する日

  4. 4

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  5. 5

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  1. 6

    大阪万博会場は緊急避難時にパニック必至! 致命的デザイン欠陥で露呈した危機管理の脆弱さ

  2. 7

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  3. 8

    レベル、人気の低下著しい国内男子ツアーの情けなさ…注目の前澤杯で女子プロの引き立て役に

  4. 9

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  5. 10

    芳根京子も2クール連続主演だが…「波うららかに、めおと日和」高橋努も“岡部ママ”でビッグウエーブ到来!