<164>真砂田辺市長はドン・ファンの通夜にも葬儀にも姿を見せなかった
市長夫婦を東京に呼び、当時日本で一番人気があった高級ホテル「ホテル西洋銀座」(現在は閉館)でもてなしたこともあった。ホテル内の「吉兆」で一緒に食事をし、ホテル近くの高級エステの代金までドン・ファンが負担したというから、すごい接待である。
夫婦でドン・ファン宅に挨拶に来ることもあったし、市内から車で40分もかかる中辺路の市長宅にもドン・ファンは何回も行っていた。
ドン・ファンが亡くなる2週間ほど前に愛犬のイブが死んだ時も、そのお悔やみに夫婦で自宅に来たほどだった。
しかし、ドン・ファンが亡くなった途端に手のひらを返すように通夜にも葬儀にも自宅にも姿を見せなくなった。
「(ドン・ファンが)生きているときは怖いから、イブのお悔やみに行ったのも義理を欠かさないようにしていただけでしょ。ドン・ファンの話題が出ると市長は露骨に嫌な顔をするので、彼の前でドン・ファンの話題に触れないようになったんです。死んでホッとしているんじゃないですか?」
市長を知る議員は苦笑する。そんな仕打ちを受けるドン・ファンだが、私は市長との関係を深掘りする気持ちはなかったので、そのままにするつもりになっていた。しかし、遺言を田辺市が受け取ると表明したので、私はドン・ファンの遺産について詳しく取材をし始めたのである。
するとそこで、とんでもない事実を発掘してしまったのだ。 (つづく)