著者のコラム一覧
二田一比古ジャーナリスト

福岡県出身。大学卒業後、「微笑」(祥伝社)の記者に。その後、「Emma」「週刊文春」(ともに文芸春秋)をはじめ、多くの週刊誌、スポーツ新聞で芸能分野を中心に幅広く取材、執筆を続ける。フリー転身後はコメンテーターとしても活躍。

「朝ドラ女優」から「元ジャニーズ」まで…“肩書”を生かすも殺すも本人次第である

公開日: 更新日:

 芸能人で不動の肩書といえば「2世」だが、芸能界には入ってから新たに得る肩書もある。歌手なら“レコ大受賞”“紅白出場”が思い浮かぶ。昔の歌謡界なら「紅白出場の肩書で全国営業ができた」という時代もあったが、今では経歴のひとつに過ぎない。

 俳優の世界では「日本アカデミー賞」などの受賞歴もあるが、近年、ブランドのようになっているのが「朝ドラ女優」の肩書だ。後に民放ドラマの主力を務めることが多くなった。1月期のドラマでも「ファイトソング」の清原果耶、「ムチャブリ!」の高畑充希、深夜ドラマ「愛しい嘘」の波瑠も朝ドラのヒロインだった。

 最近は脇役でも「朝ドラ女優」の肩書は注目度が高くなっている。確かな演技力でドラマ界を席巻する名脇役の座を掴んだ伊藤沙莉。今期、異例の2本のドラマに主演する広瀬アリスも朝ドラ「わろてんか」で注目されキャリアを積み上げてきた。

 朝ドラ女優の肩書はかくもありがたいものだが、逆に注目度が高い分、プレッシャーも大きい。ドラマの内容も含め朝ドラのイメージを持たれたまま見られ、視聴率が芳しくないケースも少なくない。今期の清原も高畑も1桁視聴率に終わった。

「朝ドラのイメージを払拭するか、それともキャラを生かすかが課題になっている」(芸能関係者)

 正解はないが、この課題をクリアしたのが永野芽郁だろう。2018年の朝ドラ「半分、青い。」に主演後、選んだドラマは菅田将暉主演の学園ドラマの女子高生役だった。以後、女子大生役など自身の成長とリンクするように役も成長させた。昨年は「ハコヅメ」で新人女性警官役を演じ、別な顔を見せた。朝ドラ女優のイメージは払拭。女優としての成長を示した。

ジャニーズの元アイドルの肩書

 実績を残せば付いてくる肩書は、もろ刃の剣の要素を持つ。端的な例が不祥事。覚醒剤所持、使用で逮捕された田中聖容疑者。報道されるたびに、彼の肩書に付くのが“元ジャニーズ所属のアイドルグループKAT-TUNメンバー”の記述。

 大麻で逮捕歴もあり、素行の悪さは別格の元アイドル。驚きはないが、「この人がジャニーズアイドルだったのか」と思うほどの変わりように衝撃を受けた人も少なくない。辞めた人の起こした不祥事とはいえ、ジャニーズの元アイドルの肩書は必ず付く。

「他の事務所だったら、“元アイドル”だけで済むが、ジャニーズだから、事務所名からグループ名まで入る。それほどジャニーズの名は重く大きい芸能界のブランドになっている」(芸能関係者)

 オートレーサー森且行もジャニーズの「SMAP」のメンバーだった。先日、大けがを負い1年近くにわたり懸命にリハビリを続けている姿をTBSの「ニュースキャスター」で放送していた。随所に中居正広や元メンバーとの今も変わらない絆をうれしそうに話す姿が印象的だった。それは「元ジャニーズのSMAP」の肩書が今も輝いている証しでもあった。田中容疑者とはあまりにも対照的だ。

 近年、ジャニーズ退所者は後を絶たないが、彼らにとっては「元ジャニーズのアイドル」の肩書はずっと背負うことになる。

 どんな肩書でも、生かすか殺すかは本人次第だ。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    松本人志「事実無根」から一転、提訴取り下げの背景…黒塗りされた“大物タレント”を守るため?

  2. 2

    島田洋七が松本人志復帰説を一蹴…「視聴者は笑えない」「“天才”と周囲が持ち上げすぎ」と苦言

  3. 3

    人気作の続編「民王R」「トラベルナース」が明暗を分けたワケ…テレ朝の“続編戦略”は1勝1敗

  4. 4

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  5. 5

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  1. 6

    松本人志が文春訴訟取り下げで失った「大切なもの」…焦点は復帰時期や謝罪会見ではない

  2. 7

    窪田正孝の人気を食っちゃった? NHK「宙わたる教室」金髪の小林虎之介が《心に刺さる》ファン増殖中

  3. 8

    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

  4. 9

    菊川怜が選んだのはトロフィーワイフより母親…離婚で玉の輿7年半にピリオド、芸能界に返り咲き

  5. 10

    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    西武ならレギュラー?FA権行使の阪神・原口文仁にオリ、楽天、ロッテからも意外な需要

  2. 2

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  3. 3

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  4. 4

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  5. 5

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  1. 6

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  2. 7

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 8

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  4. 9

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇