「何言うてんねん」を愛し続けるAマッソ加納のトガった笑い
加納はコピーライターだった父がヤバかったと同番組で明かす。たとえば祖母の家に行った際、「祖母に聞こえないように悪口を言ったら、1000円やる」といったゲームを2つ上の兄と一緒にさせていたそう。それを加納は「ノリノリでやっていた」と。
そんな加納は「いろんな笑いがあるけれど、私は『何言うてんねん』が大好きだ。受け手が腹を抱えて笑いながら『何言うてんねん』と言うしかないものに出会った時、安い言葉だけど、人生って楽しいなぁと思う」と自著「イルカも泳ぐわい。」(筑摩書房=2020年11月18日発売)につづっている。
20年の「THE W」(日本テレビ系)決勝進出以降、テレビの露出が増えたという。動物ロケで「かわいい~」などと言っている自分に「私、今まで頑張ってきたのに動物持って『かわいい~』言うてるで」と思ってしまうと加納は笑う(テレビ東京系「あちこちオードリー」21年12月1日)。
以前は「『そこまでしゃべらへんぞ』と、何者でもないのに、守るものだけ一丁前にあったときもあった」という加納だが、最近では「隠すよりも、自分という人間をわかってもらえたほうがいいと思えるように」(講談社「VoCE」21年8月20日)なったという。「自分の中で『あ、考え変わった』みたいなステージに出会えるのが、続けることの一個の意味かな」(文芸春秋「文春オンライン」20年11月28日)と。
そうして加納は「丸くなった」と言われる現在でも、気づかれるかどうかのラインを狙うように「何言うてんねん」なトガった笑いを挟み込むのだ。