生島ヒロシさん「心身と財布の健康が大事」落ち着いたら海外の友人たちを訪れたい

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生島ヒロシさん(フリーアナウンサー/71歳)

 TBSの局アナから独立し、今もテレビ、ラジオで活躍する生島ヒロシさん。平日朝5時から生放送の「生島ヒロシのおはよう定食・おはよう一直線」(TBSラジオ)は20年以上続く長寿番組だ。東日本大震災では実妹を亡くすなど大きな喪失も体験したが、今、願っていることは……。

 ◇  ◇  ◇

 71歳になりました。もういつ旅立つ日が来るかわかりませんが、ギリギリまで元気で過ごしたいですね。

 先日、元博報堂の方が設立した「未来ビジョン研究所」の名誉理事に就任しました。今の70代は現役消費者、気分は若造です。好奇心を失わず、どんどん新しいことにチャレンジしていき、これまでの70代のイメージとは違う「ニューセブンティ」のイメージを示していきたいですね。

 今スポーツジムでズンバというアフリカのダンスに挑戦しています。当然、若い人のようには体は動かない。1人だけ周りと違うステップを踏んでいたりするわけです(笑)。でも、それでいい。かっこよく踊ろうなんて気はなくて、音楽に合わせて体を動かすことが楽しい。そうやって新しいことに好奇心をもって挑戦しワクワクしながら取り組む。そんな70代でいたいです。

 ありがたいことに今も現役でお仕事させていただき、ラジオの生番組を20年以上続けていますから、休みは10日ぐらいを年2回。コロナ前まではかみさんと小旅行を楽しんでいました。お互い旅行が好きなので。死ぬまでにやりたいといえば、かみさんと海外をゆっくり回りたいですね。

 コロナが落ち着いてきたと思ったら、今はウクライナ情勢でヨーロッパに行きにくいですが、トルコやギリシャ、それからパリ。パリにはかみさん同士が仲よしの友人夫婦がいるんですよ。アムステルダムにも友人がいるので、オランダにも行きたいなぁ。

 米ロサンゼルスにもぜひ。大学時代に米国留学したので、ロサンゼルスには青春時代の思い出が詰まっています。当時お世話になった人たちと今はライン電話でつながっていて、その人たちに会いたいし。

 今ネットフリックスで「セリング・サンセット~ハリウッド、夢の豪華物件~」というリアリティーショーを見ているのですが、そこに出てくるような豪邸も見てみたいですね(笑)。

 フロリダにはうちの事務所に所属していたタレントが米国人と結婚して住んでいるので彼らにも会いたい。そう、僕は海外旅行といっても観光より、そこにいる友人に会いに行く感じですね。

 生まれてきた以上はご機嫌で過ごさないともったいない。そのためには心と体と財布の健康が大事。僕の場合、朝の生放送をやっていることが心身と財布の健康維持に役立っています(笑)。

母の面倒を見た妹をねぎらおうと思った時に震災が

 この年齢で現役でお仕事させていただいて、いろんな人との出会いがあり、いろんな意見をリスナーに提示することができて感謝です。僕自身の力にもなっています。

 人生は山あり谷ありで長く生きているとつらいこと、悲しいこともさんざんありました。なかでも大事な人との別れは大きな出来事でした。僕は父を病で早く亡くし、母は東日本大震災の1カ月前に寿命で、妹夫婦は震災の津波で流され亡くなりました。妹は震災の翌日には母の遺骨をもって四十九日法要のために上京する予定だったんです。まさか、その前日にあの世に行くことになるとは考えてもいなかったでしょう。

 僕らはきょうだい4人です。僕は長男、唯一女の子だった3歳年下の妹は調整役です。きょうだいの中で妹が一番頭がよかったのに親のそばにいるために高校卒業後、実家の隣にあった会社に就職し、親の勧める結婚をして最後まで親の面倒を見てくれました。

 母が亡くなった後、労をねぎらってハワイにでも連れていってあげようと思ったら、「温泉でいい」なんて欲のないことを言う妹でした。それなのに……と思うと、つらいとか悲しいという言葉では言い表せません。

 残された人間はどうすればいいのか。あるお坊さんが教えてくださったのですが、亡くなって100日目の法要は卒哭忌といって嘆き悲しむことに区切りをつける日だそうです。「嘆き悲しんでいたら成仏できません」と。そう聞いて僕も悲しくてもたくましく生きて行動に移すことが一番の供養なのだと思うようになりました。だから、僕は死ぬまで明るく元気に生きようと思います。

 やりたいことといえば、もうひとつ。後進を育てたい。若く頑張っている人を応援しサポートし、やりたいことをやらせてあげたい。サポートしている人が伸びていくのを見るのが喜びです。

 38歳で独立、後ろ盾もなく10億円の借金を抱えたこともありました。そんな時も「ま、いっか」の精神で乗り越えてきました。そこには応援し支えてくれた、忘れられない人がたくさんいる。だから、今度は僕自身が若い人たちにとってそういう存在になれたら。恩返しをする番かなと思ってます。

(取材・文=中野裕子)

■医学博士・石原結實氏との共著「70代現役!『食べ方』に秘密あり」(青春出版社)を今年3月上梓。70代でも健康で元気に活動する生活上のさまざまな秘訣を紹介している。

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