「講談は女性が自己表現するのに理想的な職場なのかもしれません」
古典と新作、二刀流を使う落語家は多いが、講談師は少ない。同じ2代目山陽門下で、茜の弟弟子に当たる3代目神田山陽は、二刀流を使った。春風亭昇太がリーダーのSWA(創作話芸アソシエーション)のメンバーだったこともある。
「師匠の名跡を継いで、これからという時期に、突然海外活動に出かけたり、帰国したと思ったら故郷の北海道網走に移住しちゃったり、訳がわからないんです。創作力があったのに、もったいないなあと思います。また新作をやって欲しいですね」
茜自身、寄席で新作が受け入れられなくとも、新作の会は続けたいという。
「お世話してくれる方がいまして、去年から向島の小さな会場でやってます。初回は、これまでに作った新作を手直ししたのを5席も演じました。お客さまがとっても喜んでくれたのがうれしかったですね」
短いネタとはいえ、新作5席は凄い。きっとやる気がたまっていたのだろう。
東京の女流講談師は、現在40人を超えるが、結婚、出産をした人もやめないで続けている。この離職率の低さはどうしてなのか。