仲代達矢89歳「役者人生70周年」赤秋の境地…コロナ禍は無名塾の稽古場でひとり汗を流す
若い時分の青春は過ぎ去ったけれども、中高年になった今は「赤秋」だ。実りの秋を精いっぱい生きればいい。仲代達矢(89)は1996年に亡くなった演出家の妻宮崎恭子さんのそんな言葉を励みに、舞台に立ち、引退せずに頑張ってきたと語った。
東京は内幸町の日本記者クラブでの記者会見(8月12日=写真)。役者人生70周年の節目として、9月4日から石川県の能登演劇堂で主演舞台「いのちぼうにふろう物語」に立つ。
「80歳を過ぎて現役だと名優だといってもらえますが、年を取るとともに役者の能力は落ちていく。声がパーンと張ってたのに、今はよれよれ。(若い弟子たちの)10倍努力しないとできない」
そう言って自嘲気味に笑ったが、諦めてはいない。毎朝5キロのジョギングは年を取ると体に負担になると医者に止められたが、いまは1日1時間のストレッチで体を動かす。
「少しでも若さを取り戻すようにって、やっているんですが」と奮闘の日々を送る。
戦火のなか、命からがら生き抜いた戦中派。1952年の俳優座養成所入所から始まった役者人生は、75年に宮崎さんと立ち上げた演劇塾「無名塾」で後進の指導に励み、先頭に立って走り続ける日々を今も続ける。