メディアの沈黙を招いたジャニーズ事務所"不気味な手口" 記者の自宅を特定し「内容証明郵便」
ジャニー喜多川氏の性加害問題が長きにわたり放置、隠蔽されてきた理由の一つに、8月29日に「外部専門家による再発防止特別チーム」が公表した調査報告書の中にある「マスメディアの沈黙」がある。事務所の副社長だったメリー喜多川氏がテレビ局などに圧力をかけ、それによって、大手メディアがジャニーズ事務所にとって好ましくない報道をしなくなった経緯が説明された。
その一方でメリー氏は事務所にとって都合のいい報道をするメディアには、人気グループのカレンダーの販売権を与えたり、人気グループを音楽番組に出演させるといった「アメ」を与えた。いわゆる「アメとムチ」を使い分けながら巧みにメディアコントロールをしてきたわけだが、歯向かうメディアには“ムチ”と言うには生易しい“嫌がらせ”もいとわない、危うい一面を持ち合わせていた。
今回、今から2年前の2021年11月末、突如としてジャニーズ事務所から筆者の自宅に送られてきた「内容証明郵便」について明かしたい。
筆者が執筆した記事を掲載したメディアに芸能プロダクションから抗議が来たり、内容証明郵便が届くことがある。しかし、最初に抗議を受けたり、内容証明郵便が届くのは、あくまで、記事を掲載した出版社や新聞社であることが一般的だ。それからメディア媒体と芸能プロの担当者間で交渉したり、双方の弁護士間でやりとりをして、それでも折り合いがつかなければ訴訟となる。ところが、筆者の自宅にジャニーズ事務所から何の前触れもなく内容証明郵便が送り付けられてきた。そこには署名記事4本の削除要請と、同様の記事が今後掲載された場合は法的措置を辞さない旨が書かれていた。筆者はOBも含め同事務所スタッフと年賀状のやりとりなどをしたことはない。どうやって筆者の自宅住所を特定できたのか? 軽い身の危険と恐怖を感じた。