猫ひろしさんが振り返る カンボジア代表で2016年リオ五輪男子マラソン出場の経緯と感激

公開日: 更新日:

猫ひろしさん(お笑い芸人/46歳)

 いよいよパリ五輪が開幕だが、お笑い芸人の猫ひろしさんはカンボジア国籍で8年前に男子マラソンに出場したれっきとした元五輪選手。その経緯と五輪出場の感激を語ってくれた。

  ◇  ◇  ◇

 一番のターニングポイントだったレースは国籍を変えると決めた大会です。2010年12月のアンコールワット国際ハーフマラソンです。

 マラソンを始めるきっかけは、ホリエモン(堀江貴文)さんのネット番組に出演した時。経営者や芸人がホリエモンさんからアイデアをもらう企画で、僕のときは「猫ひろし再生計画」というタイトル。選挙に出るとか東大を受けるなどたくさん考えてくれた話題づくりの案の中に「足が速いから国籍を変えて五輪をめざす」があったんです。面白いと思って「やります!」と即宣言。

 とはいえ、国籍を変えるなんて簡単にできるはずもなく、2年くらい話が進まない。でも、その間にマラソンのタイムは上がっていったんです。ホリエモンさんのスタッフの方がカンボジアでホテルをやっていて、親身になって現地のレースに呼んでくれました。

「ハーフマラソンで3位に入れたら、カンボジア国籍を取りませんか」とその方の提案で出場。それ以下なら国籍取得はやめようと言われ、走ってみたら3位になれたんです。その瞬間「五輪を目指そう!」と。それから何があろうと国籍を変更して五輪を目指すというのを決めました。

 その後はカンボジアの五輪委員会にコンタクトをとったり、東京マラソンやカンボジアのレースに積極的に出場。12年の別府大分毎日マラソンで当時のカンボジアの1位のタイムを抜き、その年のロンドン五輪出場が一時決まりました。

■批判も多くてロンドン五輪は断念

 でも、そこから批判が大きくなり、マスコミに追われる日々。そのうち雲行きが怪しくなってきて。国籍を変えてから1年以上の居住実績がないと出場できないというIAAF(国際陸上競技連盟)に新しい規則ができて、出場できなくなりました。

 練習中にコーチから告げられた瞬間、多少覚悟はしていたものの、やはりショックで……。その夜、頭を整理するためにマラソンをやったんです。夜から深夜にかけて40キロ。そして出した結論は「ここでマラソンをやめるのはおかしい。これじゃ笑いものだ。五輪に出る出ないは関係なくカンボジア人としてマラソンを続けよう!」でした。

「4年後を目指すんでしょ?」と聞いてくる方もいましたが、当時で35歳ですよ。もう難しいとは思いました。でも、悔しいからそれまでの練習量を1日30キロから31キロに増やしました。大して増えてないと思うかもしれませんが、1年だと365キロ違う。その練習量を続けてカンボジアのレースで1位をとり続け、4年後にリオ五輪の出場権を獲得しました。

 その時期にはカンボジアの選手とも友情があったし、認めてもくれていたから「猫が五輪に出るべきだ」と応援してくれてました。僕は4年前のことがあるので、出場決定の会見が開かれるまで用心深くなっていましたが(笑)。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    松本人志「事実無根」から一転、提訴取り下げの背景…黒塗りされた“大物タレント”を守るため?

  2. 2

    島田洋七が松本人志復帰説を一蹴…「視聴者は笑えない」「“天才”と周囲が持ち上げすぎ」と苦言

  3. 3

    人気作の続編「民王R」「トラベルナース」が明暗を分けたワケ…テレ朝の“続編戦略”は1勝1敗

  4. 4

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  5. 5

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  1. 6

    松本人志が文春訴訟取り下げで失った「大切なもの」…焦点は復帰時期や謝罪会見ではない

  2. 7

    窪田正孝の人気を食っちゃった? NHK「宙わたる教室」金髪の小林虎之介が《心に刺さる》ファン増殖中

  3. 8

    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

  4. 9

    菊川怜が選んだのはトロフィーワイフより母親…離婚で玉の輿7年半にピリオド、芸能界に返り咲き

  5. 10

    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    西武ならレギュラー?FA権行使の阪神・原口文仁にオリ、楽天、ロッテからも意外な需要

  2. 2

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  3. 3

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  4. 4

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  5. 5

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  1. 6

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  2. 7

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 8

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  4. 9

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇