是枝裕和監督デビュー作「幻の光」チャリティー上映 プロデューサーが語る能登への恩返し
「元気な輪島の風景が映っている」
──今回、なぜチャリティーで上映することになったのですか?
「被災地の復興がいっこうに進まない様子を見ると、政府や行政が高齢者が諦めるのを待っているようにも見えて……。私は活動家ではないですが、誰かが何かをするのを待つより、自分たちで何かできないかと。1900円でこの映画を見てもらうと、半分近くのお金を輪島に届けられます。映画の力で輪島を応援することが、29年前助けてもらったことの恩返しになると思うんです」
──見どころは?
「朝市通りをはじめ、傷を負っていない元気な輪島の風景や、この映画に惜しみなく協力してくれた輪島の人々の生活、優しさ、おおらかさがしっかり映っています。そこに思いを馳せて見てほしい。また、愛する人を亡くした主人公が喪失から『再生』していくのと同様に、輪島も必ずや再生へと向かうはず。それを後押しすることが今回の再上映の目的なので、主人公の姿と重ねて見てほしいです」
(聞き手=橋本悠太/日刊ゲンダイ)
▽あらすじ 祖母が、そして夫が突然、死へと旅立った。愛する人を次々と失った記憶と引きとめることができなかった悔恨を胸に秘め、主人公・ゆみ子は奥能登に嫁ぎ、新しい家族に囲まれて平穏な日々を送るが──。作家・宮本輝の同名小説が原作。ベネチア国際映画祭(1995年)で、金のオゼッラ賞(撮影)を受賞。