是枝裕和監督デビュー作「幻の光」チャリティー上映 プロデューサーが語る能登への恩返し
能登半島地震から1日で7カ月。石川県輪島市を舞台にした、1995年公開の映画「幻の光」が2日からチャリティーで再上映される。是枝裕和監督の長編映画デビュー作で、「輪島の朝市」など被災前の能登地域が記録されている。まずは東京の「Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下」で限定上映され、その後各地を巡回。収益から諸経費を除いた全額が輪島市に届けられる。再上映を発案したプロデューサーの合津直枝さん(顔写真、テレビマンユニオン所属)に、リバイバルに向けた思いを聞いた。
■「地元でできることならなんでも協力しますよ」
──映画の企画段階では苦戦していたと聞きました。
「主演も監督もプロデューサーも新人で暗い話でしたから、3年以上製作資金も集まらず配給先も決まらずで、もう諦めようと断念するために輪島市を旅したんです。その時、偶然にも観光協会の方から『地元でできることならなんでも協力しますよ』と言っていただき、その言葉に勇気を得て、そこから徐々に計画が進んでいきました」
──どのような現地の人々の協力があったのでしょうか。
「舞台になる港町を探し出してもらったり、地元の大工さんに廃屋を主人公たちの家に改築してもらったり。婦人会の炊き出し、激安な値段での宿の提供。朝市のシーンなどではエキストラとして大きな協力をしてもらいました。予算も厳しくスタッフも最少人数だったので、地元の人たちの協力は本当に大きかったです。輪島市のみなさんの協力がなければ、映画は完成しませんでした」