羽賀研二の逮捕事件は司法界も揺るがしかねない
先月25日、かつては俳優として活躍し、華やかな芸能生活を送っていた羽賀研二さんが逮捕されたとの報道がありました。これで3度目の逮捕だそうです。
今回は、暴力団組員や司法書士らと共謀して、自身が所有する沖縄県内の土地・建物について、差し押さえを免れる目的で、自身が代表を務める法人に所有権を移転したという強制執行妨害目的財産損壊等の容疑での逮捕とのこと。
あまり聞き慣れない容疑だと思いますが、この強制執行妨害目的財産損壊等罪とは、裁判所が命じた強制執行を妨害するために、強制執行の対象である財産を隠したり、損壊したり、または仮装譲渡などを行う犯罪です。主に裁判所での判決などに基づく強制執行その他の法的決定が適切に執行されることを確保し、法の支配を守ることを目的として定められています。
また今回の事件で注目されているのは、日本司法書士会連合会副会長が関与しているという点です。強制執行を免れるために名義変更の登記を行ったという犯罪である以上、司法書士がなんらかのかたちで関わったことは間違いないでしょう。この副会長が犯罪の故意を認めているかはわかりませんが、不動産取引や遺産相続などで重要な役割を果たし市民の方々とも近い法律家の司法書士が、もし犯罪に加担していたり、暴力団関係者と共謀していたということになれば、司法書士の倫理や信頼、ひいては司法界を揺るがせる事態となるでしょう。
今年、ドラマ「地面師たち」が流行となっています。一見正当な手続きをしているようにみえても、犯罪に加担しているかもしれない──。この感覚を僕ら法律家は常に意識しなければならないと思っています。