周囲驚かす性格の豹変には病気が潜んでいるかもしれない
「“発症の原因の大半は、バイクや車による交通事故で頭を強打するからだろう。車を運転することの少ない自分に関わりはない”と思われる中高年も多いかもしれません。しかし、間違いです。この病気の原因は脳卒中などの脳血管障害が圧倒的に多く、脳腫瘍などのケースもある。中高年には他人事ではありません」
東京都高次脳機能障害者実態調査検討委員会が平成20年3月に発表した概要版によると、高次脳機能障害者のうち81・6%が脳血管障害によるもので、脳外傷は10%だった。年齢別で見ると、30歳以上は脳血管障害によるものが圧倒的に多かった。
■感染症や肝硬変も危ない
「問題は、身体的な後遺症が軽い脳梗塞などの脳血管障害であっても、この病気を発症するケースがあること。治療を受けて数カ月経ってから発症することもあるので、注意が必要です」
甲状腺機能亢進症、うつ病、低血糖、不眠症なども怒りっぽくなることが知られている。
「別名『ピック病』と呼ばれる認知症も人格変化が見られます。脳の前にある前頭葉と側頭葉を中心に、萎縮により発症する認知症が前頭側頭型認知症で、その代表的な病気です。初老期に発症しやすく、感情のコントロールができずに怒りっぽくなります。少しずつ物忘れの症状も出てきます。露出などの性的逸脱も起こします。自身に病気の意識がないのが厄介です」