永田宏
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永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

足立区vs港区 長命時代は足立区の3世帯家族に学べ

公開日: 更新日:

 高齢になると平均余命の差が縮まり、90歳まで生き延びれば、男女とも東京・足立区のほうが港区よりも長命になります。実はまったく同じ現象が、他の区でも見られるのです。

 もちろん平均寿命(0歳の平均余命)で比較すると、高所得区は低所得区よりも2~3歳も長くなっています。ところがその差は年齢とともに縮まり、やはり80代後半から90歳前後で、追いつくか逆転してしまいます。
<表>は足立区に次いで低所得の葛飾区・北区と、高所得の渋谷区・目黒区の男性の平均余命をまとめたものです。中年までの平均余命の違いは、低所得区の現役世代の死亡リスクが、高所得区よりも高いことによるものです。しかし高齢になって平均余命差が縮んでくることは、高所得区の死亡リスクが年齢とともに低所得区を上回ってしまうことを意味しているのです。

 現役世代の単身者の死亡リスクは、妻帯者よりも高いことが知られています。しかし単身者は、むしろ高所得区に多く集まる傾向があります。人口に占める現役単身者(%)は、葛飾区12.0、北区18.7に対して、渋谷区はなんと31.1、目黒区も19.1となっています。渋谷区民の3分の1近くが現役単身者というわけです。それでも死亡リスクが低いのは、高所得区ならではの高い健康意識と高収入によるものでしょう。

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