麹菌はやさしい微生物 だからこそ人間の免疫力を強化する

公開日: 更新日:

神仏習合をなした日本古来の伝統思想とも通じる

 欧州を原点とする微生物研究は、抗生物質を分泌する青カビの研究から始まった。青カビはペニシリンを分泌して“自分だけが生き残ろう”とする。つまり戦いに勝ちにいく菌だ。宗教問題や領土紛争で争いを続けてきた欧米にふさわしい。

 一方、日本発祥の麹菌は、他者を攻撃しない「やさしい微生物」だという。それは神仏習合をなした日本古来の伝統思想とも通じる。

「攻撃しないどころか、自分自身を犠牲にして周りの有用微生物を活性化します。体に良いことで知られる乳酸菌も麹菌があると格段に元気になります。そして人間が食べると免疫力を強化してくれます」

 排除するのではなく共生する――ウィズコロナが叫ばれている今こそ「麹に学ぶところがある」と山元は言うのだ。

 日本で生まれ、幅広く利用されながら、実態がほとんど知られていない「麹」。本連載ではその秘めたパワーを、山元への取材により一つずつひもといてゆく。=つづく

(文・小茂根均/アウトサイドサイエンスライター)

【連載】麹の知られざる力

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…