乳児の呼吸を調べれば喘息になりやすいかどうか予測できる
気管支喘息というのは、気管支にアレルギー性の炎症が起こり、胸がゼーゼーして息が苦しくなる発作を繰り返す、慢性の病気です。昔は発作のために亡くなる人も多く、日常生活が苦しくて送れないという人も多い病気でした。
今では吸入ステロイドという、副作用が少なく、発作が予防できる薬が進歩し、アレルギーを抑える注射のような新薬も開発されて、発作のコントロールはかなりの部分まで可能となりました。
しかし、喘息そのものを予防したり、その原因を治療して治すような方法は、まだ開発されていません。喘息には体質が影響しているといわれていますが、生まれつき決まっている部分が、どのくらいあるのかは分かっていませんでした。
昨年の呼吸器学の専門誌に、赤ちゃんの時の呼吸機能と、その後の喘息の発症との関連を検証した研究結果が報告されています。特殊な方法で、生まれてから6カ月以内の乳児の呼吸機能を測定し、その後大人になるまでの経過を観察しました。すると、呼吸機能を示す2つの数値が低い乳児は、3分の2がその後喘息になっていたのです。
喘息になりやすいかどうかは、今まで考えられていたより強く、生まれた時の肺の状態が影響しているようです。この研究が進歩すれば、喘息になるかどうかを生まれた時に予測して、予防することが可能になるかもしれません。