仕事ができなくなっちゃう…声優の森川智之さん喘息を語る
森川智之さん(声優・ナレーター 53歳)=気管支喘息
どう隠していこうか――。
40歳を迎え、声優として多忙を極めていたときに「喘息」と診断されてしまった僕は、周りにそれを気づかれてはいけないと思い、必死に「健康ですよ」という空気を出していました。
声優にとって、声は大事な商品。常にクリアで安定した音を出せなければいけないので、喘息だと知られたら、仕事の現場から呼ばれなくなると思っていたんです。
喘息は、気道に慢性的な炎症があり、わずかな刺激でそれが悪化しやすく、ひどくなると気道が狭くなって激しい咳の発作やゼイゼイと喉が鳴る喘鳴が起こり、呼吸が困難になる病気です。
じつは幼い頃、僕の弟が重い喘息を患っていたので、「喘息は怖いもの」というイメージを持っていました。毎晩のように救急車を呼ぶくらい入退院を繰り返している弟がかわいそうで、子供ながらに「なんで自分だけ元気なんだろう」と自責の念を抱いていました。
後になって、親から「あなたも小児喘息だったのよ」と聞かされましたが、苦しかった記憶はないので「喘息=弟の病気」という認識でした。